008
二人の後孔に、ゼリー状の体を注ぎ続ける。そろそろ催淫効果で、感覚も弛緩してきた頃だろう。
オレは体の一部を新たに伸ばすと、レイとアッサムの目を盗んで作り上げた、前世と一寸違わない肉棒を、二人の目につくよう高々と掲げた。
レイとアッサムも一目でそれがいつものゼリー状態ではないことに気づく。硬化魔法を覚えたてだと知っているのもあって理解が早かった。
「あぁっ! お前っ、やっぱりろくでもないこと考えてたな!?」
「そ、それは……っ」
ふっふっふ、見ろ、この長さと太さを。しかも魔法によって硬さは好きに変えられるときた。伸ばした体の先端を肉棒に模したので、傍から見れば触手がウネッているように見えなくもないが。
オマエたちは今からこれで犯されるんだ。どうだ? 期待に胸が膨らんで仕方がないだろう?
「俺はそんなもののために、お前に硬化魔法を教えたわけじゃないぞ! こらっ、やめろ……それをこっちに持って来るなぁっ!」
「…………」
喚くアッサムとは裏腹に、レイは固唾を飲んでいる。
くくっ、まさか二人ともピンクスライムの肉棒に貫かれる日が来るとは思ってもいなかったに違いない。
いざ行かん! 我らの桃源郷へっ!
二人の両膝を持ち上げ、挿入しやすい姿勢を取らせる。抵抗していたアッサムも、後孔へ注入済みのゼリー状の体を激しく揺すれば大人しくなった。
硬くした肉棒を彼らの下着の中へと潜り込ませる。
「ほ、本当に……それを使うのか?」
レイは信じられないといった様子だ。
けれどすぐそこまで現実は押し寄せている。肉棒の先端が、それぞれの蕾の襞をとらえた。
あぁー、この先端に襞が吸いつく感じっ、堪らんなっ!
「うそ、だろ……っ! んなデカいの、入るわけ……!」
今まで散々オマエにぶち込んでいた刀剣の柄より、一回りぐらい大きいだけだ。
問題はないと挿入を続ける。
少しずつ進む肉棒に、レイが大きく息を吐いた。
「はっ……ぁ……あぁ……! 入って、くる……っ!」
「そんな……イヤだ、こんな、リアルな形ので……っ、犯されるなんて……!」
それがいいんじゃないか。
ぐいっと前立腺を肉棒で持ち上げると、硬いものに慣れたアッサムがヨダレを垂らす。
「ぁあっ! だめっ……こんなの、覚えたらっ……完全に、ダメに、なるからっ! やめ……あっ! あっ! ぁぁあ!」
安心しろ、もう十分後ろを犯されないと満足出来ない体になってるって。
レイの方はしっかりヘビが届いていた奥まで、肉棒を挿入する。その圧迫感に、レイは顔を真っ赤にしながら耐えていた。
しかし突如として、熱が放出される。
「くっ……ぁ……ぅ…………ぁあああああ!」
予想していなかった事態に、一瞬、オレも動きを止めた。
まさか挿入しただけでイッたのか……?
放たれた精気が自然と体に吸収されていく。
「はっ……あ……ちが、体が……おかしっ……んあぁっ!」
レイ自身も状況を受け留めきれていないのか、久しぶりに泣きそうな声を漏らした。どうやら体がいつも以上に敏感になっているようだ。
「くぅぅっ……入ってる、だけ、なのに……感じ……っ、止まらなっ……!」
再度レイは全身を震わせると、自身からカウパーをトロトロと流した。
ふむ、これは見過ごせないな。
すっかりレイが感じる体になってしまっているのを確認して、肉棒の抽送を開始する。さて、レイは気を失うまで何回イケるだろうか?
「はひっ!? や、やめっ……! あぁっ! あん! ああん!」
「れ、レイさ……ひぅぅうんっ!」
ただならぬレイの様子に、アッサムが反らしていた顔を向けようとしたので、そんな余裕はないぞと、彼に挿入した肉棒も大きく動かした。
グリグリとアッサムの内壁を肉棒でえぐると、一際高い声が部屋に響く。
肉を打つ音の代わりに、ピンクスライムの体が大きく揺れた。
ズズ、ズチュッズチュッ。
太い水音に、二人の悲鳴にも似た嬌声が重なるのが心地いい。
「イクっ、またっ! イッ……あぁぁあああ! っ……はっ、もう、ゆるしっ……あっ! んぉあ! あぁ!」
レイは鼻水を垂らしながら、ベッドの中でもんどり打ち──、
「あふっ……ひっく……! ぅあっ! あっ! らめっ、そこ、らめぇぇええ!」
アッサムは打ち上げられた魚のように、何度もベッドのスプリングを軋ませた。
二人の声に浸っていれば、隣室からの抗議の壁ドンも気にならない。
熱気は正に最高潮! レイとアッサムから放たれる精気も濃くなっていく一方だ。
もしピンクスライムに嗅覚があれば、香しい匂いが部屋中を満たしていたに違いない。男の汗が弾け、空気中に霧散した香りが。
しかしながら、心が高鳴るにつれ、オレは違和感を覚えはじめていた。
硬化魔法を会得し、自らの体で待望の肉棒を作ることに成功したというのに。
レイに挿入した肉棒が奥を突くと、その度に彼は目を見開く。
「ぉあ!? おっ、おっ……おく、んぁああ!」
そして肉棒が一層に引き締められた。
だというのに。
ゼリー状のこの体は、放出された精気を吸い取るばかりで……。
身の内で荒ぶるはずの、熱の奔流を、オレに一切感じさせなかった。
腹は順調に満たされている。
けれど、違う。オレが望んでいるのは、違うんだ。
まさかここにきて漂いはじめた暗雲に、ゼリー状の体が揺れた。
オレは、オレは……! 中出しがしたいんだよぉぉおおお!!!!!
しかしピンクスライムの体内から発射されるものは何もない。
元々、体を分裂させて増える生物だしな。
盲点だった。
この体は中出しはおろか、射精すら出来ないのかっ……!
発覚した事実に愕然とする。
念願の肉棒を手に入れた結果がこれか?
相手の腹を自分の子種で満たしてこそ、犯した達成感を得られるというのに。射精する瞬間の、あの爽快感をオレはもう感じることが出来ないのか……?
そんなの、あんまりだ…………。
「は……ぁ……ふぁっ!? やめろっ、乳首まで、吸う、なぁ……!」
失意に駆られ、オレはレイとアッサムの全身に取りついた。
こうなれば二人を徹底的に犯して、自分を慰めよう……。
レイはすっかり、痙攣したように体を小刻みに震わせているが、こんなのはまだ序の口に過ぎない。
アッサムの乳首を吸っていた体の先を、舌の形に変形させ、硬化させる。
後孔への肉棒の抽送に合わせて乳首に吸いつきながら、コリコリと作った舌で先端をもてあそんだ。
「あひんっ! らめっ、二か所同時、はぁ! はぁん! この、だめだって……! くぁぁあああん! ひっ、もう……っ……挿れるなぁぁあ!」
肉棒を出し入れする度に、アッサムの屹立した中心も揺れていた。尿道口からは引っ切りなしにカウパーが流れている。
褐色の肌はじっとりと濡れ、その原因が汗によるものなのか体液によるものなのかは最早分からない。
アッサムを犯している間も、ズチュッズチュッとレイへの抽送は続いていた。
肉棒に貫かれ続けたレイは、時折背を跳ねさせながら荒い息を繰り返している。
「はひっ……はっ……ぁ、んんっ」
もっと劇的な展開が必要だな。
折角全身が敏感になっているレイには、更に手法を凝らすことにした。
新たに体を細く伸ばし、先端を筒状に変形させてから硬化させる。そして筒の口を乳首に付け、レイの亀頭にも装着した。
ぼんやりとこちらを見るレイを確認しながら、装着した三か所を一気に吸引する。
「ぁ……? なに、を…………くぅんっ!? おっ、ぉあ!? くぁぁああん」
ブルブルとレイの肉棒が揺れ、精液が筒の中で溢れ出た。
精液が少量なのは、既に何回かイッているせいだろう。
「はふっ……ふ……ぅぅぅ……」
精魂出し尽くしたレイは、シーツに大きく皺を作りながら両手足を投げ出した。
けれど気を失った様子はない。まだイケるか……?
荒い呼吸音を聞きながら、鍛えられた胸の上で乳首の吸引を続けると、乳輪がぷっくりと盛り上がりはじめる。
張りのある大きな雄っぱいに膨れた乳首がある光景は、中々に食欲を刺激した。
アッサムのときと同様に、ゼリー状の体の先で新たに舌の形を作る。
「はぁ……んっ……ぁ……んんっ」
ぷにぷにとした弾力が愛おしい。
硬化した舌で乳輪を舐め回し、何も出ることがない乳首の先端をえぐった
ここにも穴はあるんだがなぁ……。男にも乳腺はあるので、稀にミルクが出る人がいたりもする。
しかしレイの胸はほとんど触ることがなかったから、今はオーソドックスに堪能させてもらおう。
力が入っていないレイの大胸筋は柔らかく、存分に揉みしだくことが出来た。
顔には皺が見て取れるものの、いつも通り老いを感じさせない体だ。
胸を揉み、乳首に舌を這わせながらピンクの肉棒で貫く。
ズンッという奥に響く衝撃に、レイは下顎を天井に向かって突き出した。
「あひぃぃいん! あっ、ぁっ…………」
重い一打が効いたのか、今度こそレイは全身から力を失う。
彼の淡い色の肉棒も力なくうな垂れていた。
よし次はアッサムに集中するかと思ったところで、部屋に響く声が静まり返っていることに気づく。
アッサムのヤツ、勝手に気を失ってやがる!
ただでさえ快楽を植えつけられた後孔を犯され続け、神経の糸が切れてしまったのか、ぐったりとヨダレを口から流したまま、アッサムは脱力していた。年若いアッサムにとって問答無用に快楽責めされるのは、あまりない経験なのもあるだろう。
……仕方ない、寝かせておいてやるか。
ふぅ、と伸ばした体を元に戻したところで、部屋のドアがノックされた。
どうやら壁ドンでも声が収まらなかったので、隣室の人間が文句を言いに来たようだ。
レイもアッサムも動ける状態ではないので、オレが代わりに対応しようとドアを開ける。
「おいっ、お盛んなのは結構だが時間を……ふんぐぅぅう!?」
ドアの前に立っていたのが男だったので、ついでに犯して部屋の外へ投げ捨てた。
オレは今、腹はいっぱいだが傷心中なんだ!
◆◆◆◆◆◆
ぐすん……肉棒は手に入れられたのに、射精が出来ないなんて……。
世界は無情だ。
「……何で好き勝手したピンクスライムの方が、落ち込んでるように見えるんですかね?」
「昨晩のアレは堪えたな…………」
言ってもピンクスライムのゼリー状の体での性交だから、そんなに負担はないはずだがな。気分的に疲れたのか、レイは旅支度を整えながら腰をトントンと叩いていた。
アッサムは若いのもあって、褐色の肌を輝かせている。
はじめて会ったときより、肌質がよくなってるように思えるのは気のせいだろうか……?
「さて、行くか」
疲れを見せていたものの、レイは出発に意欲的だ。
すぐにでもシドの魔族領に向かおうとするレイの姿に、アッサムが心配げな顔になる。
「本当によろしいのですか?」
「ここまで来てどうした?」
「頼み込んだ自分が言っていいことではありませんが、交渉が成功する可能性はおろか、シド卿が交渉の席に着くかどうかの保証も……」
「君の任務は、私を無事にシド卿の元まで送り届けることだろう? 私にとっても魔族との停戦協定は悲願だ。利害は一致しているのだから、君が気に病むことは何もない」
「しかし我が王は、レイ様をいいように扱っているだけではありませんか! 前の停戦協定を反故にしたのは、誰でもない我が王だというのに」
唇を噛みしめながら、アッサムは拳を握った。
今更何言ってんだと思わなくもないが、彼なりにこの状況を苦々しく思っているのだろう。目的地を目の前にして怖じ気づいたというわけではないが、自分の行いが本当に正しいことなのか信じきれなくなったようだ。その姿が、オレの中で勇者パーティーの姿と重なった。
自分ではどうにも出来ない悔しさも相まってか、噛んだ唇からは血が滲んでいる。
レイはアッサムの顔に手を伸ばし、その血を親指で拭った。
「自分を傷つけるのはよせ。覚悟は、もう出来ている。誰が何と言おうと、シド卿の魔族領に入るのは私の意志に他ならない。王家の人間として、私が決めたことだ。後悔はないよ」
「レイ様……」
レイにも矜持がある。
出発前に、個人的な思いで動いていることを、オレには語っていたが……。
建前と本音を使い分けている様は、王家の人間らしい姿だな。
それでも不安はあるだろう。何せ魔王やオレを倒した、勇者パーティーを差し向けた国の人間だ。魔族に身分がバレれば、命を狙われる。しかしレイは気弱になっている姿を一切見せない。
アッサムはそんなレイに対して、これ以上言葉を重ねることはなかった。
前世のオレの生存を確かめたいと言うレイだが、兄王に対する怒りなども感じられないのが不思議だ。
旅の間もずっと、ただ目的にだけ向かって走っているようだった。
果たして本当にレイに思うところはないのか? と問われれば、そんなことはありえないだろう。単に彼の胸の内は、本人にしか分からないというだけだ。
グレイクニルという男は、決して他人には弱みを見せない男なのだろう。
レイとアッサムが部屋を出て行く。
命を狙われる危険はアッサムにだってある。しかしレイの言葉を聞いた後では、彼の歩みにも迷いはなかった。
そんな二人の背中を見て、オレはゼリー状の体をぷるるんっと弾ませた。