004

 新しくステータスに表示されたアビリティより、上がった信仰レベルに狼狽える。
 フェリは俺が邪神だと知らないはずだ。
 ともすればこんな素性の知れない人間を、明日にはいなくなるかもしれない人族を、フェリは認めてくれたというのだろうか。
 魔王様の男妾なのに加え、敵対しているであろう人族だ。他の魔族にしてみれば、俺の存在は邪魔でしかないだろう。
 現にメイドさんは俺の世話はしてくれるけど、信仰レベルは上がってないから俺の存在は認めていない。
 排斥しようとするのなら分かるけど、逆に存在を認めるというのは、どういうことなんだ。それだけアルの威光が強いってこと?
 フェリは真剣な表情を変えていない。
 話を聞けば、その胸の内も分かるだろうか。

「僕は魔族の中のホルスタイン・フリーシアンという種族で、乳牛と同じくミルクを出すことで知られてる。ちなみに魔族領は魔素が多い土地柄、動物はいないんだよ」
「そうなのか。食事はどうしてるんだ?」

朝食に並べられていたものを思い出す。卵や肉類もあったけど、あれは俺の知ってる動物のものではないんだろうか?

「魔物がその代わりかな。交易のある人族の国から仕入れたりもしてるけどね」
「魔物……」
「人族には馴染みがないだろうけど、含有魔素が多いくらいで、味が良いものもいるんだよ。ただ人族にとっては毒素も多いからクルト様が食べることはオススメしない」

 魔族領にあるものは、とにかく含有魔素が多くなるってことでいいのかな。
 聞けば聞く程、人族にとっては生き難い場所のようだ。

「魔物の含有魔素とかもフェリが調べてるのか?」
「うん、魔族領の魔素の分布とそこで生活する魔物の含有魔素は比例してることが多いからね。誰にでも出来る地味な仕事だよ」
「でもその地味な仕事が統計には必要不可欠なんじゃないか」

 素材を集めて一つ一つ計測するのは根気のいる作業だろう。しかしその一つ一つの数値がなければ、平均も割り出せない。
 フェリはどうも自分を卑下するところがある。
 俺がそう応えるとフェリは優しく目を細めた。

「有難う。……話を戻すね、フリーシアンの女性が出すミルクは一般的なものよりも魔素を多く含み、味も良いことから回復薬としても栄養価の高い飲み物としても重宝されているんだ。だからフリーシアンでは女性が当主を務め力を持つ。中でも僕の家は代々その時代の陛下に仕え、食事や健康面の管理に務めているんだ。今日朝食に使われたミルクは、僕の家の当主が出したものだよ」
「へぇー……」

 女性が出したミルクを使う……このへんは魔族特有の感覚なんだろうなぁ。

「人族に比べれば力は強いけど、フリーシアンは戦闘が苦手な種族だから内勤を務める者が多いんだ。自分で言うのも何だけど、他の魔族に比べて気性も穏やかな人が多いよ」

 ということは、フェリが纏う雰囲気は種族特有のものなのか。もちろんフェリ自身の気質もあるんだろうけど。

「今聞いた限りじゃ、フェリが気にするようなことは何もなさそうだぞ?」

 魔族といえど種族による得手不得手はあるだろう。フェリの種族はちゃんと他の種族とも住み分けが出来てそうなのに、何が問題なんだろうか?

「それは……この話の前提がフリーシアンの女性だから、かな」
「男性だと何が変わるんだ?」

 そりゃミルクは出ないだろうけどさ。

「食用になる」
「は?」
「フリーシアンは肉も美味だと言われていてね、女性はミルクを出して貰わないといけないから食べられることはないけど……」
「いやいやいや、共食いだよな?それ。え、魔族って魔物だけじゃなくて、魔族も食べるの?え?」
「同じ魔族でも種族が違うから共食いにはならないよ。といっても限られた種族での話だけどね」
「種族が違うって……、こうして会話も出来るし、見た目だって」
「人族から見ればそうかもしれない。けど魔族にとって種族の違いは大きいんだ。古い貴族の中にはフリーシアンを養殖してる人もいるし」
「は!?」

 養殖!?なんなの、完全に家畜扱いなの!?え?え?え?

「ちょっと待って、色々追いつかない。……フェリは男だよな?」
「うん、男だね。僕の場合は生まれた家が良かったとしか言いようがないよ。代々陛下に仕えていることもあって、他の種族の種を入れるのを良しとしないから。他のフリーシアンのコロニーでも、種は必要だから男性だからってすぐに食用に回されるわけじゃないんだけどね」

 種ってあれだよな……えーと、フリーシアンの男は基本食用にされるけど、何人かは種馬……この場合は種牛? として生かされるってことでいいのか? 鬼畜か。

「クルト様、僕の本来の仕事は女性への種付けなんだ。ただそれだけだと気が狂ってしまう場合があるから、取るに足らない仕事を与えられているに過ぎないんだよ。僕の場合はそれが研究で、皆僕の事情は知ってるから、研究員としての扱いもそれなりってところかな」

 だからクルト様が平民出身だからといって、僕より地位が下だとかそんなことはないんだよとフェリが笑う。

「フェリ……」

 違う、違うんだ。
 俺はそんな風に笑って欲しかったんじゃないんだ。
 そんな泣いてるような笑顔で言わないで。

「気分を悪くしたかな? でも安心して、当代の陛下はフリーシアンを食用とすることに好意的じゃないから、食卓に上がることはないよ」

 そうじゃない。そういうことじゃないだろう。
 グルグルと色んな感情が俺の中を駆け巡るが、それを言葉にすることが出来ない。
 行き場のない思いに視界が歪む。

「クルト様……? っ、すみません! すぐに退室致しますので!」

 俺の反応をどうとらえたのか、フェリが慌てて席を立つ。俺は咄嗟にフェリの腕を掴んだ。

「ダメ。座って」
「ですが……」
「口調も。……俺が話すように頼んだんだ。フェリは何も悪くない」
「でも」
「いいから、座る!」

 中々席に戻ろうとしないフェリの腕を引いて強引に座らせる。

「確かに驚いたし、色々思うことはある。だけどそれはフェリに対してじゃないよ」

 魔族のフリーシアンに対する考え方については物申したいところではあるけど。
 ビクターは何を考えて、彼のような者を俺の教育係に任命したんだろう。裏があるような気がしてならない。

「はぁ……」
「すみません」
「いや、謝らなくていいから。これは宰相様に対する溜息だから」
「あの、僕からも、他の人に変えてもらうようビクター様に……」
「だから! 違うって!!!」

 思わず大声を出してしまう。
 フェリの肩がビクッと震えた。髪の間から見える耳もすっかり後ろに倒れてしまっている。
 あぁ、怯えさせたいわけじゃないのに。どうして思うように出来ないんだろう。

「お願いだから、ここにいて。俺はフェリが教育係じゃないとイヤだ」
「クルト様……」
「フェリは俺の教育係になるのは嫌か?」
「いいえ! ……ただ、家から言われていることがあって……」
「何て?」

 もう何が出ても驚かないぞ。

「折を見て、必ず陛下に味をみてもらうようにと……」
「それはあれだよな、性的な意味じゃなくて、そのままの意味だよな」
「うん……」

 驚きはしないけど、呆れた。
 身内だろ? どういう感覚なんだ? 俺には理解出来ない。したくもない。
 どこが穏やかな性格だ、もう狂気じみてるとしか言えないじゃないか。

「フリーシアンにとって、陛下に召し上がって頂くことは、とても名誉なことだと……分かっては、いるんだ……けど……」

 フェリは次第に声を詰まらせる。
 すっかり萎縮してしまっている彼の姿に、先程までは気を張って話してくれていたことを知った。
 丸みを帯びた優しい瞳は今は見る影もなく、心の叫びが宿るように悲痛に歪み濡れている。
 誰だ、彼に、こんな顔をさせるのは。

「僕は……っ……死にたく、ない……っ」

 ハラハラと零れ落ちる涙を見ていられなくて席を立つ。
 俺はフェリの前に立つと、自分の胸にフェリの頭を抱き込んだ。

「クルト様……?」
「大丈夫。俺が、絶対、食べさせないから」

 絶対に。誰にも。
 俺には何の権限も力もないけど、やりようはあるはずだ。
 フリーシアンの件に関してはビクターも思うところがあるんだろう。だから俺のところにフェリを寄越した。
 だったら、どうにかしてみせる。してやる。
 俺がそう決意していると、フェリが俺の腕を外して距離を取った。

「ありがとう……クルト様は、優しいんだね」
「ただの気分屋だけどな」
「だけど僕のことは気にしないで。今に始まったことじゃないんだ。遅かれ早かれ、種付けの適齢期を過ぎた者は食用に回される決まりだから」
「なんだ、そんなふざけた決まりまであるのか」
「ふざけたって……」

 フリーシアンにとっては真面目な話なんだろう。だけど俺にとっては、全てがバカバカしい話だった。

「魔族やフリーシアンにも考えがあることは俺も分かる。ただ俺には受け入れられそうもない。フェリは誰にも食べさせない」
「クルト様……」
「俺がそんなことを言ったって、フェリは不安だろう。だけど覚えておいて。フェリの死にたくないと思う気持ちは何よりも正しい」

 生きている者として、当然の反応だ。
 誰が好き好んで自分から他者に食べられたいと思う。

「……っ……ふ……でも、僕の、考え方は、異常で」
「俺はそう思わない。生きたいと思って何が悪い? それが生物の本能だろう。それは人族も魔族も動物も魔物も変わらないはずだ」

 また堰を切って流れ始めたフェリの涙を手で拭う。

「フェリは何も間違ってない。少なくとも俺にとっては。だから俺の前で、フェリの思いを否定する必要はないよ」
「……ひっく、……はい」

 涙に濡れたフェリの目が赤くなっていたので、メイドさんに冷えたおしぼりを用意してもらう。
 泣き過ぎたせいか、子供のように何度も喉を詰まらすフェリの背中を撫でながら、俺はフェリが落ち着くのを待った。
 とりあえずアルに話を聞いてみるか。

「ふっ……ごめん、みっともないところを見せたね」
「いいよ、気にしてない。俺の方こそ、心の傷をえぐってゴメン」

 俺が謝るとフェリが慌てて首を振る。
 涙は止まったようで、良かった。

「無神経なところがあるのは自覚してるから。いかんせん予備知識がないから、地雷が分からないんだよ」

 今回のことも、魔族にしてみれば常識の範囲内だろう。

「だけどおかげでフェリの事情がよく分かったから、俺としては結果オーライだけどな」
「僕も……聞いてもらえて、嬉しかった。こんなこと他の魔族には言えないから」

 そこでようやくフェリは俺が見たかった笑顔を見せてくれた。
 作られていない自然な笑顔は、花が咲いたように朗らかで、肌に残った涙が花に付いた朝露を連想させる。
 思わず見入ってしまうような、とても綺麗な笑顔だった。

「それにしてもミルクが出ないから食用に回すっていうのは短絡過ぎないか?」

 害獣ならともかく、普通に勉強も出来て仕事に就けるなら、何かしら役に立つことはあるだろうに。

「ミルクが出ないわけじゃないんだけどね。短絡的なのは、良くも悪くも力がものをいうからかな」

 最終的には力でゴリ押し出来るから、多少のことは問題ないってか。
 待て、今何か聞き逃してはいけないことを聞いた気がする。

「フェリもミルク出るの!?」

 反射的にフェリのおっぱい凝視した。
 もちろんそこには男性の平らな胸があるだけで、変わった何かが見えるわけじゃない。
 詰襟の白いシャツに淡い若葉色のジャケットはフェリの容姿によく似合っているけれど。

「え、うん、出るよ。ただ男性は女性より出が悪くて、味も苦いから飲めたものじゃないんだ」
「ほほう?」

 苦いとな。
 苦いミルク……これに近いものを最近、もっと言えば今朝口にして、おいしく頂いた気がする。

「飲んでみたい」
「え?」
「俺、他の人とは味覚が違うみたいなんだよ。試しにフェリのミルク飲んでみたいんだけど、ダメかな?」
「えっ!? いや、本当に不味くて飲めたものじゃないよ?」
「かもしれないし、俺にとってはおいしいかもしれないじゃないか!」

 拳を握りながら俺がそう言うと、フェリの耳が忙しなく動いた。尻尾も大きく左右に揺れている。
 心なしか顔も赤くなってるように見えるのは気のせいだろうか?

「……あのね、女性は絞れば比較的簡単にミルクが出るんだけど、男性の場合は結構揉んだりしないといけなくて……。あと、言いにくいんだけど……」
「うん、何?」
「その……平静時には出なくて……あの……性的興奮がないと……えっと、ごめん」

 本格的にフェリが顔を真っ赤にして俯いた。
 俺はといえば予想の範囲内のことだったので、勿体ぶられた分、逆に拍子抜けである。あれだよね、正にエロゲ的展開。

「俺は全然構わないよ。むしろ飲みたい。今すぐ飲みたい」
「うぇ!?」

 フェリにしてみれば予想外だったらしく、変な声を出して目を見開いている。
 性的興奮については、邪神のアビリティを信じよう。
 アルの反応を見るに、とりあえずキスから始めれば良いだろうか。

「フェリが嫌だったら諦めるから、無理しないで」
「僕は……嫌じゃないけど、陛下が許されないんじゃないかな?」

 そういえば俺、アルの男妾設定だった。

「あー大丈夫、大丈夫。魔王様は心が広いから」

 多分。
 俺の行動に関しては、もう諦めが入ってるっぽいし、そこまで怒ったりしないだろう。
 怒るとしても、教育係に手を出した俺の方にだと思う。

「そう……?」
「何にしてもフェリのことは責めさせないよ。それじゃあ目でも瞑ってて。流石に俺相手だと萎えるだろ?」

 こちらに向いてもらって、フェリの膝に手を置く。
 普段女性の相手をしているフェリにとって、俺にされるのを見るのは辛いだろう。

「ううん、クルト様可愛いし……」
「フェリ、もしかして目が悪いのか? 宰相様は魔王様に趣味が悪いって堂々と言ってたぞ」

 俺は自他共に認める三白眼だ。可愛いわけがない。

「えっ!?」
「ちなみに成人してるからな?」
「えぇっ!!?」

 おかしい。魔族の外見における年齢認識おかしい。
 フェリも身長高いけど多分180〜190センチといったところで、せいぜい俺とは10センチぐらいしか変わらないのに。
 研究員ってだけあって筋肉も必要最低限しか付いてるようには見えない。

「この凹凸の少ない顔と農耕民族の遺伝子が悪いのか」

 筋肉の付きにくい体質は、どうしても華奢に見えてしまうだろう。

「そ、そんな……! 僕は目は悪くないし、純粋に可愛いと思うよ!」
「じゃあ美的感覚がおかしいんだな」
「えぇー……」

 俺が出した結論にフェリは首を傾げる。まぁ好みは人それぞれだからね。
 だがもう一度言おう、俺は可愛くない。外見の是非に関してはビクターと同意見である。

「フェリがそれで良いなら、俺としては事を進めるだけだけど」
「……本当に飲むの?」
「飲みます。とりあえず胸を揉むところから始めたら良い?」
「う、うん……えっと僕はどうしたら良いかな? あまりこういうの慣れてなくて……」
「ん? 普段種付けしてるんじゃないの?」
「あれは仕事の一環だから……」

 あくまで作業ってことですか……世知辛いと言うか何と言うか。

「フェリはそのまま座ってくれてたら良いよ。あ、でも力は出来るだけ抜いておいて」
「分かった……んっ」

 鍛えられていない胸は平坦で、掴みどころがない。
 乳腺の位置を意識しながら、俺は指圧をするようにフェリの胸を揉んだ。
 そうしながらフェリの薄くピンクに色付く唇に自分のを重ねる。
 フェリは少し目を細めながら、そんな俺を見ている。

「ちゅっ……フェリ、口開けて」
「うん……」

 俺の要望通りに開けてくれた隙間へ舌を這わす。
 唇の内側を舐めると、フェリが俺の服を掴んだ。

「んんっ! ……ふっ……ん、ん……」

 ぴちゃぴちゃと音を立てながら唇や歯の付け根を舐めていると、フェリの瞳が熱を持って潤んでくる。
 どうやら無事に気持ち良く感じてくれてるみたいだ。
 揉んでいる胸も、服の上から尖った部分が分かるようになってきた。
 おもむろにそこを指先で抓むと、フェリが跳ねる。

「あんっ、んっ……あっ……!」
「気持ち良い?」
「……うんっ……気持ち良い……あぁっ、だめっ」

 乳首を弄る度に、フェリがビクビクと体を震わす。
 仕舞いには体を捻って刺激から逃れようとするので、俺は逃がさないよう手の平の全体を使って強くフェリの胸を揉んだ。

「やぁっ! ……あんっ、だめっ……気持ち、良い……っ……からっ」
「気持ち良いのに、ダメなの?」
「あっ……だって、出ちゃう……っ」
「何が出ちゃうの?」
「……んっ、ミルク……出ちゃ……んんっ」

 それを出そうとしてるんだけどな。
 フリーシアンにとっては胸が性感帯なのか、気付いたらフェリの下半身も勃起していた。こっちも後で味見させてもらおう。もちろん性的な意味で。

「出そうなら、服脱ごうか。ボタン外すよ」

 上着を肌蹴させて、きっちり第一ボタンまで留められたシャツのボタンを上から外していく。
 シャツを開くと、覚えのある甘い香りが鼻をくすぐった。
 精液のそれほどではないけれど、十分味は期待出来そうだ。
 俺は早速ツンっと尖ったフェリの乳首を口に含んだ。

「はぅ! ……あっ……あっ……」
「んっ、ん……」

 片手でもう片方の胸を揉みつつ、舌でもフェリの胸を舐め回す。
 見上げるとこちらを見下ろすフェリと目が合った。
 フェリは今どんな思いで俺を見ているんだろう?
 だらしなく開いた口からは、熱を帯びた息と声がとめどなく溢れている。

「んぁっ! ……あっ、あっ……もう……!」

 そろそろミルクの出る条件は満たしているだろうか。
 トドメとばかりに思いっきり乳首を吸い上げた。

「あぁんっ! ……あぁ! ……でるっ……みるく、みるくっ、でちゃぅうう!」

 俺の服が引っ張られるのと同時に、フェリは背中をしならせた。
 次いで、トクトクと口の中に甘い液体が流れる。
 無事にフェリのミルクを出すことに成功したらしい。
 口に咥えてない方の乳首からもミルクが溢れ、流れ落ちていっている。

「はっ……ん……、あぁ……そんな……っ、いっぱい、吸わないでぇ……」

 精液ほど濃くもなく、甘味も強くないけれど、逆にそれが飲みやすく俺の喉を潤す。
 無意識の内に吸い過ぎたらしく、口を離したときにはフェリの乳首は赤く腫れていた。

「ごめん、フェリのミルクがおいしくて、つい」
「……本当? 本当においしかったの……?」
「じゃないとここまで飲まないから」
「そっか……よかっ……っ……」
「フェリ!?」

 ポロポロ涙を零し始めたフェリに焦る。
 もしかして強く吸い過ぎた!? 痛くなってたらどうしよう……。

「大丈夫? 加減分からなくて」
「うん、大丈夫……ちが……嬉しく、て……」

 先に泣いた余韻がまだ残っていたのか、フェリがひくっと喉を震わす。

「おいしいって、言ってもらえたの……おいしく、ないのに……おいしいって言ってもらえて、嬉しい」
「俺はおいしかったよ?」
「うん……僕のでも、たくさん飲んでもらえたのが、凄く、嬉しいんだ」

 良かった、どうやら悪い意味での涙ではなさそうだ。
 よしよしとフェリの頭を撫でる。
 ついでに流れてしまったミルクも舐め取った。

「ひゃっ」
「くすぐったかった?」
「……もう、そんなの、舐めなくて良いのに……」
「勿体無いじゃないか」

 口は一つしかないから、どう頑張っても片方から出る分は流れ落ちるだけだ。
 そういえば搾乳機とかあるんだろうか……いや、どうせなら直に飲みたいけどさ。ちょっと搾乳機を付けたフェリを見てみたい。きっと倒錯的だろう。

「あとさ……こっちも」
「あっ! だ、ダメだよ」

 すっかり湿り気を帯びているフェリの中心を指でなぞる。
 膨張したそこは見るからにキツそうで、フェリの制止を無視して、俺は前を寛げさせた。

「フェリのここって色素薄いんだ」
「や! ダメ、触ったら、感じちゃう……からっ」

 竿の部分は肌の色に近く白っぽい色で、亀頭は赤みを帯びた桃色をしていた。
 フェリの体格からすれば標準的なサイズであろうそれを手で握る。

「こっちのミルクも飲ませて?」
「そ、そんな……恥ずかしい……っ」
「そう言われると俄然飲みたくなる。口でしてもらったことないの?」
「ない……。ね、お願いだから……手、放して……あんっ」

 では、フェリのはじめてを頂きます。
 亀頭を口に咥え、吸い上げながら頭を上下に動かす。
 先漏れの液と唾液で、じゅぶじゅぶといやらしい音が立った。

「あっ、あっ……! ……だめっ……クルト様、また、ミルク……出ちゃう、から!」
「んっん……はぁ……、そういえば気持ち良くなったら、おっぱいからも出るのか」

 どうしよう。さっきも言ったけど、俺の口は一つしかない。

「おっぱいの方は我慢出来ないの?」
「うぅ……出来ない、だってクルト様、すごく、気持ち良い……」

 俺が握ったままのペニスを扱くように自ら腰を揺らすと、フェリは熱い息を吐いた。
 口ではダメだと言っておきながらこれである。フェリの『ダメ』は今後も無視しよう。

「ん、じゃあさ、自分の指で乳首を押さえられない?」
「あっ……ん……こう?」

 素直に乳首を抓むフェリ。俺からだと自分で乳首を弄ってるようにしか見えなくて卑猥だ。

「それで止められそう?」
「多分……でも、ちょっとジンジンする……」
「さっき散々俺が舐めてたからね……。こっちが終わるまで辛抱してて」
「んぁ! ……あっ、あっ! やぁっ」

 フェラを再開させた途端、嬌声が上がる。
 椅子の背もたれに忙しなく後頭部を押し付けながら、フェリは何度も啼いた。
 乳首を押さえながら喘ぐ姿は淫乱にしか見えない。

「あぁっ、あっ、ん……っく、んんっ」
「ぢゅ……ちゅっ……ふっ、フェリ、すごくエッチい」
「やっ……あっ……だって……あぁ! クルトさま……もうっ」

 フェリが頭を振り乱す。
 かすれ始めたフェリの声を聞きながら、出来るだけ深く咥え込んだ。
 手の動きに合わせながら、口内で圧力をかけていく。

「ひぁっ……あぁっ! あっ、あぁ……っ……ぅっ……んんー!!!!」

 どぴゅっと口の中でフェリの精液が弾けた。
 続けて出されるそれを舌を動かしながら、喉に流し込む。

「んっ……」
「ふぁ……ぁ……クルトさまぁ」

 やっぱり精液の方が濃くて甘い。
 俺は全部飲み切ると顔を上げ、今度はフェリの乳首へ口を持って行く。
 フェリの指をどけると、すぐにミルクが溢れ出した。

「あんっ……あぁっ…………」

 ちゅうちゅうと続けざまに吸い付く。
 ミルクの量は先ほどと比べると少し減ってるみたいだった。
 舌で乳首を転がしならミルクを飲み続け、気付いたときには──フェリは意識を飛ばしていた。

『信仰がレベル6に上がりました』