006
すっかり話はまとまり、レイはシドの元へ向かうことを決めた。だが王国内でもグレイクニルが生きていることは秘密にされている上、勇者側に会談を邪魔される危険もあるため、移動は極秘裏に行われるらしい。
しかもこれから出立するという話の急ぎようだ。
アッサムはレイの気が変わらない内にと言わんばかりに、移動用の馬を準備するため、一旦レイの家を後にした。
今から二人だけで向かうのは、いくら何でも無理があるんじゃないか? 問いかけるようにレイに擦り寄ると、彼はグレーのヒゲもじゃの顔で笑みを作る。
「危険は承知の上だ。それにこの会談がダメ元であることは、兄上も分かっているだろう。……薄情なのは私も一緒だよ。今の私は国のためというより、スズイロ卿の生存を確認したいがために、シド卿のいる魔族領へと赴こうとしているのだから」
オレはここにいるんだけどなぁ。
だが行く気になってしまっているレイを、止める手立てがオレにはなかった。
……仕方ない。こうなればオレも一緒に行って、シドの死体遊びを説教するか。父親の死体を修復するだけならまだしも、勝手に動かしているのはけしからんしな。
しかしレイもどうしてオレの生死にこだわるのだろうか?
仮にオレが生きていたところで、魔王が討たれた後に停戦協定を結ぶはずがない。基本脳筋の魔族は、停戦よりも仇討ちに躍起になるだろうからな。
それにオレの姿を確認しようにも、反故になった会談がお互いの初対面になるはずだった。まぁオレも会談前には出回っていた肖像画で、グレイクニルの顔を確認していたから、レイもそうするつもりなんだろうか。
疑問にウネウネとゼリー状の体を揺らしているオレを見てレイが笑う。とぐろを巻いた蛇も一緒に揺れているのがツボに入ったらしい。
「ははっ、和ましてくれているのか? …………君にだけ打ち明けるとな、スズイロ卿は昨日話した、私のはじめての相手なんだ。もっとも、魔族の中でも屈指の美しさを誇った彼が、少年時代の私のことなど覚えてはおらぬだろうが」
ん? 昨日の話の相手って…………。
少年時代のレイを犯した魔族って、オレかよ!!!!!
言われてみれば、やたら身分の高そうな子を相手にしたことも……あったか?
「彼は私のくすんだ髪色とは違い、輝くような銀色の髪を伸ばしていてな……あぁ、今でも目を閉じれば思い出せる。すっと通った鼻筋や顔の造形に微塵も狂いがないのはさることながら、あのアメジストの瞳に私は捕らわれてしまったんだ。彼はどうやら興奮すると瞳が赤くなるようでな、瞳が紫から赤く染まる様子を私はじっと眺めたものだ……」
そんな彼は今やピンクスライムだけどな!
過去のオレを懐かしむレイは、胸元から小さな肖像画を取り出す。そこには見覚えのある魔族が描かれていた。
……もしかしてずっとそれ持ち歩いてるのか? レイくん、ドMなの?
乱暴された相手に心酔する姿を見たら、そう思わざるをえない。
まぁ、何故か昔から犯した相手には、好意を寄せられるんだがな。ヘビも相変わらず体の上にいるし。
そうこうしている内に、アッサムが馬を連れて戻って来た。
旅のためか、シャツとズボンだけの出で立ちだったのが、上からハーフプレートメイルを身につけている。しかし甲冑は王宮が好みそうな華美なものではなく、装飾の少ないものだったため、騎士というよりは傭兵に見えた。少数の旅に、騎士用の鎧だと目立って仕方ないからか。
装備を身に纏ったアッサムは、玄関先で寄り添うオレたちを見て眉をひそめる。
「お待たせ致しました! ……レイ様、まさかそのピンクスライムも連れて行かれるんですか?」
「いや、そんなつもりは……」
レイが返事をするよりも早く、オレは馬の鞍に跳び乗った。
おうとも! 一緒に行くぜ!
馬上でぷるんっとゼリー状の体を弾ませると、ヘビもシャーと声を上げた。
オレが体を大きく動かしても、このヘビは全く動じないのだから大したものだ。
そんなオレたちを見て、レイが苦笑する。
「どうやら彼は一緒に行きたいようだな」
「自分は反対です、こんな魔物を同行させるなんて!」
「だが、もし彼が体の一部を分けてくれたら、路銀は稼げるぞ?」
うん……? あぁ、オレの体の一部を切り離して、少量だけ売りつけるのか?
ピンクスライムは催淫効果のある媚薬の材料として魔族・人間問わず重宝されている。媚薬はピンクスライムの体を綺麗な水で薄めて作るので、例え少量でも値がついた。
完全に切り離された体に意識が及ばないことは、アッサムに体を飲み込まれたときに実証済みだ。刀剣に分断されたときは、上下どちら側の体も意識出来たことから、切り離される量が関係しているのだろう。
少しなら構わないぞと、レイに答えるように体を上下に揺らす。
「彼も了承してくれているようだ」
「意思の疎通が計れるんですか?」
オレとレイとの間に視線を行き来させながら、アッサムが呆然とした面持ちで口を開いた。
「私も不思議なのだが、どうやらこちらの言葉を理解しているように思えてならない。昨晩は私が寝ている間に、部屋の掃除もしてくれたんだよ」
「はぁ……」
どうだ、凄いだろう? とレイは、オレがいかに特別な個体かを語る。どうやらオレがゴーレムの魔方陣を改変したのもバレているようだった。アッサムはただ呆気に取られて頷くだけだ。こらっ、オレの凄さをちゃんと理解しろ!
ようやく頭が回り始めたのか、アッサムは咳払いするとオレを指差す。
「いいか! 今後、俺にもレイ様にも変なことをするんじゃないぞ!」
えー、それは無理ぃー。
首を横に振るように、ゼリー状の体をウネーッと横に伸ばす。
「……レイ様、これはどういう反応ですか?」
「多分無理なんじゃないか? 彼にとって精気を吸うのは食事と一緒だからな」
流石レイ、よく分かってる!
意思の疎通は万全だというのに、アッサムはレイの返答を聞いて不満そうだ。
ったく、往生際の悪い。
「そんな!? だったら自分はやはり反対です!」
「まぁまぁ。ピンクスライムは生物を殺すことはないのだから。それにもう我々の手で彼を馬から降ろすのは無理そうだぞ?」
「ぐっ……」
何たって物理無効だからな! これほど大きなピンクスライムを売り飛ばすことなく、燃やすのは勿体なくて出来ないだろう!
しかも馬の上には移動済みなので、今オレに魔法攻撃をしたら馬まで巻き添えになってしまう。折角調達した馬を無駄にする度胸はアッサムにはないと見た!
現に悔しそうに唇を噛んでいるからな!
「……何か笑われていそうで、いけ好かないんですが」
おお、アッサムくんもオレのことが分かってきてるじゃないか。
「背に腹は代えられません。コイツは金づるとして連れて行きましょう」
最後には全部売り払ってやる。そう言いながらアッサムは自分の馬に跨がった。聞こえてるっての。
レイもオレが乗った馬に跨がる。必要以上に体が触れて邪魔にならないように、オレは馬のお尻の方へ移動した。鞍や馬具が乗っているので、ここなら馬の体にも直接触れることはない。
「シド卿の魔族領までは長旅になります。お辛いでしょうが、何卒ご辛抱を」
「私も森での自給自足の生活に慣れている。心配してくれなくても大丈夫だ」
レイの兄であるカストラーナ王は、全く援助しなかったのだろうか? さも魔族に襲われたようにレイを隠す必要はあっただろうが、生活の支援ぐらいはしてもよさそうなものだ。
弟ですら都合のいい駒にしか考えていないのか。今回も己の都合のいいように交渉させようとしている姿を見ると、勇者が反旗を翻すのも道理だな。
魔王討伐にやって来た勇者パーティーも王に忠誠を誓っている様子はなかった。だからこそ、決戦前の茶会で国民による民主制を説いたんだが、まさかそれが功を奏したのか?
魔族は脳筋なのもあって、どうしても指針を示す代表者の存在が不可欠だ。考える頭のある種族もいるが、それは魔族の中で一握りに過ぎない。
けれど人間は違う。現に王国以外では、議会制を取り入れている国もあるのだから。このように多種多様な制度を持つ国を作れるのも、人間側の強みの一つだろう。
一辺倒な魔族は、魔王を倒されると簡単に瓦解する。今は残した子供たちがその受け皿になってくれていることを願うが。
「野宿でも構いませんか?」
「あぁ、兄上も急いでおられるのだろう?」
夜のお供ならオレに任せろ! 見えていないだろうが、レイの後ろで体を弾ませる。寂しい思いは一夜たりともさせないぜ!
走る馬の振動に体を任せながら、二人の会話に混ざる。
そんなオレにチラッとアッサムが視線を寄越した。
「……レイ様」
「案ずるな、ピンクスライムは精気しか奪わない」
「そこが問題なのですが……」
日が暮れると、アッサムの言葉通りオレたちは野宿をすることになった。
この辺りはまだ人を襲う魔物はいないらしい。だからこそレイを留置する場所として選ばれたんだろう。
アッサムがたき火を作るのを視界の端で見ながら、オレは鞍の外された馬に取りつく。
いや、だってコイツらも発散したいだろ? オレも腹空いたし。
久しぶりの動物相手だが…………いやぁ、馬の逸物はやっぱデケェな。
◆◆◆◆◆◆
ヒヒーンッ!
一際高い馬の嘶きに満足して、オレは馬からゼリー状の体を離した。
何とはなしにアッサムの方を見ると、彼は生唾を飲み込んでいた。……オマエ、実はちょっと期待してるな?
レイには変なクセを付けないでくれと言われたが、やっぱり手遅れだったらしい。
自分の愛剣で貫かれる背徳感を忘れられないに違いない。
「あ、あの……レイ様、こっちに近寄って来てるんですが」
「ふむ……腹がまだ減ってるなら私にしなさい」
「いけません! レイ様がこんな魔物の餌食になるなんて……!」
かばい合うのは結構だが、どっちにしろ二人とも相手にするぞ?
体が大きくなったせいか、馬の精気だけでは満腹にはほど遠かったからな。
ちょうど二人共たき火に向かい、隣り合って座っているので、どうせならと体を大きく伸ばした。
「こいつっ!?」
「なっ! ちょっと待ってくれ!」
待ちません。
二人の腰に巻き付き、ヌルヌルと服の中へと進入する。
「レイ様! やっぱりこいつ燃やしましょう!」
「こんな状況でバカを言うなっ!」
反射的に二人はオレを取り外そうと体に手を回すが、ただゼリー状の体に指を埋めるだけだった。
一度に二人の相手をする上、ピンクスライムの催淫効果もあるので、前戯など知らないとばかりに、二人の下着の中へ潜り込む。
二人同時に蕾の中へ体を挿入すれば、レイもアッサムも大きく背を反らせて地面に肘をつくという似たような格好になった。
「ひぃぃっ」
「ぅんんっ!」
二人揃って仰向けになる姿を眺めながら、ヌルヌルと挿入を深めていく。
「ひん! ぁあっ、やめろ! それ以上……はい、るなぁ!」
「くっ……っ……ふぅんん」
喚くアッサムとは違い、レイは喘ぎを堪えて息を吐くだけだ。
二人ともお尻が有能なのは分かってるから、後ろだけでイカせてやろうな。
彼らの体に漂いはじめる精気に、舌舐めずりをする気分でオレはゼリー状の体を動かした。
「んぁああ! 奥、はぁ! やめっ……はひっ」
「ぅおっ……くっ……んんっ! ぁ……はっ……ぁあ!」
ゆるゆると挿入される刺激に耐えきれなくなったのか、早くもアッサムが自分の股間に手を伸ばそうとする。ふんっ、それは許さねぇぜ。
「なっ!? なに……こいつっ、放せっ……!」
余ってる体を伸ばし、アッサムの腕を拘束する。剣士として鍛えられた腕には贅肉が一切なく、硬い筋肉が隆起しているが、そんなものはなんのその。どうやら体が大きくなったのに比例して、力も増しているようだった。
アッサムの体から力が抜けているのもあって、彼は絡みつくオレを振りほどくことが出来ない。
「こ、こんな……一方的な……イヤだぁっ……ぁあん! んっ!」
そう言って好きなクセに。
二人の下着を剥げば、赤く熟れた蕾がヌラヌラ光を放っていた。
レイの尻は白くムッチリしていて肉厚なのに対し、アッサムは小尻だ。それでも小麦色の臀部は柔らかそうで、アッサムの動きに合わせて揺れている。
それぞれ色や形は違うものの、双丘のくぼみでヌチャヌチャと水音を立てながら、ピンク色のゼリーを出し入れしている光景は乙なものだ。
アッサムの腰から彼の愛剣を引き抜くと、待ってましたと言わんばかりに、体の上にいたヘビがシャーッと鳴いてとぐろを解いた。
どうやらヘビは、アッサムに剣が突っ込まれるなら、レイには自分だと思っているらしい。単にヘビも混ざりたいだけかもしれないが。
それもいいだろうとヘビをゼリー状の体で包むと、彼は満足げに身を委ねる。
「ま、待てっ! アッサムにはこれ以上っ……っんぉぉ!」
はいはい、折角だからレイの下の口から閉じていこうなぁ。
棒状になったヘビの尻尾をレイの蕾へと挿入した。覚えのある感覚に事態を察したのか、やめろとレイは首を振る。
「ダメだっ……奥、はぁっ……くっ……ぅんん! あっく……ふっ……!」
ズルズルと直腸を犯されていく感覚に、レイは身悶えた。
相変わらず顔はヒゲもじゃだが、頬を真っ赤にしながら瞳を潤ませている姿は、とても可愛げがある。
「レイ様……! このっ……魔物めっ!」
ピンクスライムですが、何か?
レイの声音が変わったことでアッサムが睨んで来るが、上気した表情では意味をなしていない。
そんなに急かさなくても、ちゃんと相手してやるよ。
レイへの挿入を続けながら、刀剣の柄をアッサムの蕾に当てた。
途端にアッサムは焦り出す。
「なっ!? それは!? やめろっ……くぅっ、あっ! いや、だぁ……!」
またまた、期待してたクセに。これが欲しくて仕方なかったんだろ?
ピンク色のゼリーの力も借りて、刀剣の柄は簡単にアッサムの中へと飲み込まれていく。
「いや、いやだぁ……! あっ……ん! いや……っ……はっ、あぁぁん! ゴリゴリする、なぁ……!」
よほど硬いのがお気に召したのか、言葉とは裏腹にアッサムの蕾は大きく口を開いた。
訴えを無視してグルリと柄を回せば、アッサムは呆気なく快楽落ちする。
「はぁあん! いいっ、やぁあ! かんじっ……感じ、過ぎ、るの、こわいぃ! あっ! あっ! らめぇ……っ! いいっ、イクっ……イクぅん!」
ヨダレを垂らしながら喘ぐ姿は見覚えのあるものだ。やっぱり期待してたんじゃねぇか。
アッサムは背中を大きく反らせ、持ち上げられた股間は、既にカウパーでびしょびしょになっていた。髪色と同じ赤い陰毛でさえしっとりと濡れている始末である。
この好きものが。
催淫効果もあるだろうが、淫乱の素質も持っているに違いない。
しかしアッサムが啼《な》いてくれるおかげで、レイもつられて声を上げ出した。
「はっふ……ぅんん! あっ! あぁ……! それ、以上、はっ……! おくっ、やめっ……ぁああ! 頭が、おかしくっ……なる……!」
ヘビの体を下の口で飲み込んだレイは、力が抜けたのか背中を地面に着ける。そのまま頭を振り乱したおかげで、伸ばされたままのグレーの髪に土がついた。
うん……本当は二人とも、オレの肉棒で可愛がってやりたいんだがな。
レイとアッサムの嬌声が重なるのを聞きながら哀愁を感じる。
今は物に頼るしかないオレを許して欲しい、と……。
「あぁん! かたいっ、硬いのっ……感じちゃっ……あっ、ぁぁああああっ!」
「ふぅ……っ……ぅぅっ……やめ、中で、動くっ…………ひっ、んおぉぉ!」
しかしながら体を痙攣させながら放たれる二人の精気は、極上においしかった。