002
現れたのはグレーの髪はボサボサの、ヒゲも伸び放題のおっさんだったが、人間であることに違いはない。それも男だ。やったぜ! 犯せる!!!「ん……?」
どうやらおっさんが、ゴーレムを作ったらしい。動きを止めてしまったゴーレムの原因を探るべく検分をはじめた。
服も粗末な布を被っている感じで、見た目に魔術師らしさはないが、魔法は魔力さえあれば誰でも使えるので外見は関係ない。
大事なのはおっさんが、『おばさん』じゃなくて『おっさん』であることだ。
あぁ、もし今の体に肉棒があれば、今頃ビンビンにいきり勃っていただろうに。
嘆かわしいことだが、ようやく出会えた人間の男に、オレのテンションは否応なく上がっていた。
ゴーレムに邪魔されると台無しなので、関節にゼリー状の体の一部を残し動きを阻害しつつ、おっさんの死角から近づく。
ちょうど小腹が空いてきた、素晴らしいタイミングの出会いだった。
この出会いを大切にしたい。
ヒゲもじゃ? 気にしないね! 体毛が薄いのも嫌いじゃないが、体毛が濃い方が内包される臭いも密度を増すというものだ。この体に嗅覚はないが。……肉棒の次点で嗅覚も欲しいなぁ。
しかし流石にヘビを乗せたままだと、これ以上は気づかれるな。
よし、ヘビくん! 君はおっさんの気を逸らすために、別の方角からおっさんの視界に入るんだ!
ダメ元で指示を出してみると、ヘビは素直に従ってくれた。マジか。
精気のコスパもいいし、何て使い勝手のいいヘビなんだ。
ヘビはオレの体から下りてゴーレムの足を登りはじめる。
「ゴーレムに描いた魔法陣には問題なさそうだな。何だ? ヘビか?」
ヘビを見つけたおっさんがナイフを取り出し、彼に向けた。
その隙にオレはおっさんの足に取りつく。
「ぅお!? しまったスライムか!?」
おっさんはオレに気づくがもう遅い。接近戦では物理の効かないスライムの方が圧倒的に有利だった。
スライムの弱点は火炎や氷結魔法だ。
魔物の中でも最弱扱いされる程度には、誰でも使える初級魔法で倒せる。
しかし体に取りついてしまえば話は別だった。自分ごと火炙りや凍傷になる覚悟がなければ、スライムは倒せない。
おっさんがボロ布しか着ていないのもあって、ズボンの裾からすんなり服の中へ潜り込むことも出来、勝敗は決した。
ピンクスライムの催淫効果は、触れているもの全てに及ぶ。
「っ……しかも、ピンクスライムだと……!」
ヌチャヌチャとすね毛の生える足を登り、ゴールを目指す。今頃おっさんは、ゼリーに足を這われる快感に背筋を震わせていることだろう。
「くっ……っ……」
予想通り、催淫効果で力の抜けたおっさんは、その場でくずおれた。
立っていられなくなり、四つん這いになっているのにもかかわらず、おっさんはこの状況から脱する方法を考えるようにオレを睨みつける。
「ぅっ……くそっ……、これだけ、大きければ……いい値段に……っ」
ふん、オレはおっさんの頭ぐらいの大きさがあるからな。
末端価格で一年ぐらいは暮らせるんじゃねぇか? だがオレはスライム壺に入るようなヘマは絶対にしないぞ。
スライム壺は、その名の通り、スライムを捕まえるための壺だ。一度スライムが壺の中に入ってしまえば、外に出られない作りになっている。
だがそんなので捕まるのは、考える力のないヤツだけだ。オレは違うと、足を這い上がったゼリー状の体を、おっさんの股間に向かって伸ばした。
「ぅおっ……こんな……っ……ぅ……」
あぁ、いいな……この長さ、太さ……。
色白なおっさんらしく、勃起前の中心はピンクスライムのオレより薄いピンク色だった。陰毛を見て、グレーの髪色は年齢的なものではなく、地であることが分かる。中年らしからず、腹筋も割れているようだった。
おっさんの下半身をつぶさに観察しながら、おっさんの肉棒を優しく包み込み、ネットリと味わうようにまとわりつく。
カリ部のくびれた部分の皮の隙間にも、念入りに体を潜り込ませながら、やはり亀頭が一番敏感だろうと、皺一つない先端に吸いついた。吸引力は弱いものの、それでもおっさんは声を漏らす。
「ふっ……んんっ……!」
おっさんは腰をくねらせ、太ももを擦り合わせることで快感から逃れようとするが、そんなことはオレが許さない。
更に亀頭の頂上、真ん中に空いた尿道口へと細く体を滑り込ませる。
「あひんっ!? あっ……ぅあっ……それは、ダメ……だろっ!」
ツーッと糸を通すように、中へと進入した。
肉棒の中を少しずつ進む度に、おっさんは啼《な》きながら腰を震わせる。
「ひぅ……っ……ひんっ……」
行き場のない快感に、手で地面の土を握り締めているのが見えた。開いた口からはヨダレが垂れ落ちている。
この間も、ピンクスライムの催淫効果は続く。
遂におっさんは耐えきれなくなったのか、自分の手で股間を掴んだ。
しかしだからといってオレが責めの手を緩めるはずがない。
尿道口から細く進入させたゼリー状の体を、一気に引き抜いた。
「ひっ、ひぁぁぁああああ!? あっ……あっ…………」
心地よい嬌声が森に響く。
おっさんは顔を真っ赤にして目と口をいっぱいに開きながら、しばらく放心していた。
股間の辺りに濡れたシミが広がっていくが、きっと潮を吹いたのだろうと勘が告げる。溢れ出る精気に、オレは腹が満たされるのを感じた。
けれど、これで終わらせはしない。立て続けに動物を犯したおかげか、何だか胃が大きくなっているような気もするしな。もちろん胃はないが。
「はっ……ぁ……」
意識を取り戻しはじめたのか、おっさんの目が瞬くのを見て、オレも動き出した。
亀頭の周りを撫でるように移動しながら、後ろの方にもゼリー状の体を伸ばす。
裏筋から睾丸、陰嚢を伝って後孔へ。
ヌルヌルと蕾を撫でると、一段とおっさんは焦りだした。
「やめろ! そこは……!」
ヌプ。
ヌププ。
制止など聞くかと言わんばかりに体を挿入する。
「や、やめろ……イヤだ……イヤだ……っ」
硬さはないので、前立腺を責めることは出来ない。
けれど催淫効果が力を見せてくれるだろう。
中を埋めていくゼリー状の体は、後孔から直腸にかけて熱と緩やかな痒みをもたらすはずだ。
「はっ……はっ……イヤだ、イヤ……く、ぅ……」
おっさんは今だ濡れた股間を掴んでいる。
しかしその手が後ろに回るのは時間の問題だった。
ほら、そろそろ我慢出来なくなってきただろう……? おっさんの体に囁くように、直腸の中を行き交う。何だったらこのまま直腸洗浄してやろうかと思った矢先、ついにおっさんは自分の尻に指を突き立てた。
「ふっ……ふぅ……」
最初は服の上から蕾を押さえるだけだったが、それでは足りないと言わんばかりに、手を下着の中へ入れる。
恐る恐る進んで来る指を彼の蕾で出迎える気分たるや、まるで我が子の成長を見守るようだった。
ビクついた指がピンクスライムの体で濡れ、蕾の襞を撫でる。
そしてオレが指に馴染みはじめると、意を決したのか指を中に挿れた。
「くっ……こん、な……ふっ……うぅ……ぐすっ」
まるで泣いているように鼻を鳴らしながら、おっさんは挿入を続ける。
第一関節、第二関節とおっさんの指は己の蕾へと埋まっていった。
それにしても後ろをいじることに抵抗があるようだな? 犯されたトラウマでもあるのか? おっさんぐらいの年なら興味本位でアナニーぐらいし…………ない?
オレの基準を一般に当てはめるのは無理があるか。
ただその抵抗も、ときが過ぎるにつれ快楽にのまれたようだった。
「は……ぁあ…………くっん……あっ、あぁっ!」
オレの手助けもあり、ジュプジュプと音を立てながら、おっさんは指を抜き差しする。そうだ、それでいい……快楽を追い求めろ。
「あっく……あぁん! はっ……あぁ……いいっ……あっ、あっ……!」
挿入される指が三本まで増えるのを確認しながら、もっと激しく動かせと体を震わせて煽った。それに応えるように、おっさんは指の動きに合わせて、腰も前後に揺らし出す。
「はっ、あぁ! あぁんっ、あっ……! いい……すごっ……あぁっ! ふぅ……くっ……うぉっ、ぉ……あぁっ! おぁぁぁあああん!」
嬌声が途切れるに合わせて、濃厚な精気が周囲に広がった。
オレはすぐさまゼリー状の体を動かし、おっさんの肉棒に絡む。放たれた精液を体内に取り込むと、力が満ちるのを感じた。あぁー……これは濃い。
げっぷ……。
ヘビの比ではない、精気の濃さに満腹感が上限を超える。
体をおっさんから離すと、少し距離を置いて彼の様子を眺めた。
視界に入ったヘビは、ゴーレムの頭まで上り詰め、頂上でとぐろを巻いている。
当のおっさんは力尽きたかのように体を地面に横たわらせていた。はぁはぁ、と息を整える音に失神はしていないことを知る。
しかし結構な快感だったのか、余韻に浸っている時間が長い。
ふん、まだまだだな。
オレとしては、こんなのはまだ序の口だ。あぁ、肉棒があればなぁ……。
相棒である肉棒がないことに哀愁を感じながら、距離を取ったおっさんに魔法攻撃されないよう、ゴーレムの影に入る。
そこでおっさんがゴーレムに描いた魔法陣を確かめていたことを思い出した。
ぬっと体を伸ばし、魔法陣を確認する。
ゴーレムが動きを止めている原因はオレだ。魔法陣に不備があるわけではないが、どんなものが描かれているのかが気になった。
オレでもいじれるやつだったらいいんだが。
このピンクスライムの体に、どれだけの魔力が備わっているかは分からない。けれど今なら簡単な魔方陣は書ける気がした。
おっ、これなら……。
見覚えのある魔方陣に、体を指のように伸ばす。体内に魔力を巡らせ、ゴーレムの主人を指定するところへ点を書き足しながら、魔力を込めた。
これでこのゴーレムは、おっさんとオレを主人と認識するはずだ。
試しに関節の動きを阻んでいる体の一部を回収した。
魔方陣の改変前なら、一度攻撃を加えたオレを、ゴーレムは敵として認定しているだろう。今ならどうか。
様子を見守るオレの前で、ゴーレムはゆっくりと動き出した。ゴーレムの頭の上にいたヘビもシュルシュルと地面に下りる。……よしよし、上手くいったようだな。
ゴーレムが動き出した音を聞いて、おっさんもこちらに顔を向けた。
オレはわざとゴーレムの間接付近に体を伸ばし、ゴーレムの動きを止めていたのは、ピンクスライムだとアピールする。魔方陣に問題はないと、改変を気取られないためだ。
しかしゴーレムが動いてしまうと隠れる場所がなくなるので、オレはおっさんの死角に入るよう体を移動させた。正直、彼から離れるのは名残惜しい。
折角会えた人間なのだ。思う存分に犯し続けたいじゃないか。
しかし精気の奪い過ぎも人間の体にはよくないので我慢する。
あぁ、スライム壺を持ってでもいいから、また来てくれないものか。この体に髪はないが、後ろ髪を引かれる思いで、オレはおっさんから姿を隠した。
◆◆◆◆◆◆
願いが通じたのか、次の日、おっさんはまた来てくれた。
スライム壺を持って。
相変わらずグレーの髪とヒゲは伸ばし放題だ。
ゴーレムの姿は見えないから、置いてきたんだろうか。
「よし、まだいたな……でも何で上にヘビが乗ってるんだ?」
それはオレも聞きたい。
懐かれたのか、あれからヘビはまたオレの上に登り、とぐろを巻いて居座った。
おっさんはオレを捕まえたいようで、そっとスライム壺を地面に置く。
売ったらいい値段になるもんな。心なしか、おっさんの精気のおかげで、昨日に比べて体が大きくなったように感じるし。
何故分裂するのではなく体積が増したのかは分からないが、あんな目に遭ってもまた会いに来てくれたおっさんに付き合ってやることにする。
オレはスライム壺に向かって進行した。
「よーし、そうだ。そのまま真っ直ぐ……」
スライム壺は外から見ると、上部にくびれのある一輪挿しの花瓶のようだ。実際、中へ進む道は極端に狭くなっており、そこを越えると広い空間が確保された構造になっている。
使い方としては、スライムが好きなものを壺の中へ用意し、スライムが入るのを待つ。スライムが中に入ったら、蓋をして終わりというシンプルなものだった。極端に狭くなった壺のくびれ部分のおかげで、一度中に入ったスライムは時間をかけないと外に出ることは叶わない。
まるでオレはスライム壺につられるかのように近づき、入り口までやって来ると方向転換しておっさんに跳びついた。
「おい!? こっちじゃな……っ」
跳んだ弾みでヘビが体内に入るが、顔さえ出ていれば大丈夫だろうと気にしない。
ふふん、イヤよイヤよも好きの内ってな。本当は昨日の快感が忘れられないんだろう? 自分に正直になれよ。
体に張りついたピンクスライムを剥がそうとするおっさんを嘲笑うように、オレはまた彼の服の中へと潜り込んだ。
「くっ……この……ぁ」
昨日のことを思い出させるように、おっさんの下半身にまとわりつく。
さぁ、快楽のはじまりだ。
あれからオレは何とも交わっていない。おかげでゼリー状の体は飢えていた。
「んっく……ぅぅ……っ」
素足を這い上り、いざ秘部へ!
なけなしの抵抗におっさんは手でオレの進行を阻もうとするが、それしきのことでピンクスライムを止めることは出来ない。何せオレの体はゼリー状だからな。
ヌルリとおっさんの手を回避し、目当ての場所に辿りつく。
「ぅあっ……! やめ、ろ!」
可愛がってやるから安心しろ。それにオレも腹が減ってるんだと、おっさんの蕾に体を挿入した。