外伝【2巻完結記念 アル×クルト】

※電子書籍2巻完結記念のクルト受けです。
※時系列は2巻エンド後ですが、ラブエッチしてるだけなので、2巻を読んでいなくても大丈夫です。

2巻の簡単なあらすじ:触手のスキルを得て、魔族領にやってきた勇者を交えてHなことしました。結婚式やったし、ちょっとハネムーン行ってきます←今ココ。



 テラスで一戦交えた後、寝室へとアルに運ばれ、俺としては『いざ、イニシアチブの奪還を!』という気概だったにもかかわらず、何故か再び仰向けに押し倒されていた。
 見上げる天井がやけに遠い。別荘に使われている屋敷は一階建てみたいだけど、ドラゴン化したときの体積も考慮されているんだろうな。
 遠近感がおかしくなりそうな天井からアルに視線を移す。陰になって見えにくくはあるものの、頬が上気しているのが分かった。
 目で見る以前に、重なり合った肌は既に汗ばんでるし、アルが今どういう状態なのかは察しがつくけど。

「順番的には次、俺が上じゃね?」
「今までの累積を考えたら、しばらくはずっと余の番だろうが」
「そんな!?」

 認めないぞ! 俺以外の、ずっと俺のターンなんて!

「余だって、あますとこなくクルトを堪能したい」
「っ……」

 指先で顔の輪郭をなぞるように撫でられ背中が粟立つ。
 夢を見るように、発情しきった表情でアルは俺から目を逸らさない。その顔がとことん色っぽくて、艶めいていて、俺も抵抗する気が失せてくる。
 全力で……でもこちらを気遣いながら求められることに、悪い気はしない。
 テラスでは散々だったけどな!

「一回だけだぞ」

 体に落ちるアルの黒髪を引っ張りながら許可を出す。
 アルは何も言わず顔を寄せてきたから、てっきり承諾のキスでもするのかと思っていたら、顔が傾けられ耳たぶを甘噛みされた。
 そしてゼロ距離で、アルの腰にくる低音ボイスが耳に響く。

「足りない」

 たったそれだけ。
 その一言だけだった。
 なのに自分の顔が、一瞬で火が出そうなほど熱くなるのを自覚する。

「おまっ……! その声、反則!」
「ふっ、そのように可愛らしい反応をされては、余だって我慢が出来なくなるぞ? これでも大分と自制しているんだ」
「そのまま頑張ってくれ」
「酷なことを言うな」

 笑いながらアルは俺の首筋に顔を埋めた。
 高い鼻梁が首をなぞり、唇が肌にキツく吸いつく。
 それが鎖骨にまで下りてくると、俺は下半身に集まる熱を自覚した。

「アルっ……んぁっ!」

 思わず腰をアルに擦り付ける。するとその中心をおもむろに掴まれた。
 アルの指に先走りで濡れる亀頭をネチネチと撫でられる。
 くすぐったいような、もどかしい感覚に自然と膝が折れて、覆い被さるアルの体を衝動的に膝で挟み込んだ。

「ぁっ……んんっ」
「たまにはこうして愛撫されるのも悪くないだろう?」
「は……ぁ……その余裕、さっき、欲しかったよ!」
「あれはお前が悪い」
「なんっ……んぅっ! ちゅ、ぅんん」

 抗議の声を上げようとしたところで、口を塞がれ、舌が吸い出される。
 舌先で上顎や口内を撫でられると、俺も堪らなくなってアルの首に腕を回した。

「はっ、んっ……ちゅっ、ちゅっ……んっふ」

 熱でぼんやりする頭では、もうどちらが唇を食んで、舌を絡めているのか分からない。
 開いた口から唾液が溢れるのも気にせず、ただ互いを貪る行為に没頭していた。
 時折アルの唾液を飲み込むのに、俺は喉を鳴らす。

「んくっ……ん……はぁ……ぁ……アル……」
「あぁ、クルト……ちゅぅ、お前は、余のものだ。誰にもやらん」

 俺の口から唇を離しても、アルのキスは止まない。
 その合間にも続けられる中心への愛撫と、空いた手で胸や脇腹を弄られる行為に、息は上がっていく一方だった。
 そんな中で胸の突起に吸い付かれ、反射的に背中が反る。

「あっ! ふっ……んんっ、あぁ! アル、ちょ……待って……っ」

 俺の反応に気を良くしたのか、アルは更に乳首をしゃぶってきた。
 得体の知れないもどかしい感覚に襲われて、咄嗟にアルの頭を掴む。

「やっ、アル、待って……ぅぅん!」

 ちゅうっとアルに吸われる度、体を中からくすぐられるような、落ち着かなさを感じる。
 自分でも汗が額に浮かぶのが分かった。
 逃げるように動く体は、アルにしっかり捕まえられていて、彼の下で俺は体を震わすことしか出来ない。
 いつの間にか、中心が握られていた手は、更に奥まったところへ指を伸ばしていた。

「あ、はっ……あぁ!」
「そういえば、まだ中に残っていたのか」

 遠慮なく束ねられた指が、後孔に進入する。
 一度巨根を受け入れているからか、指は難なく進んだようだった。
 アルの男らしいごつい指が中から俺を撫で、それが前立腺を刺激する。

 あ、ヤバっ……!

 そう思ったときには遅く、熱を持った体は与えられた快感に大きく跳ねていた。嬌声が勝手に口から出ていく。

「ひぁあああ! あっ、あっ……!!!」
「ここか? こら、暴れるな」
「やっだ、って……そこっ、ぅあっ! あっ!」

 アルを押しのけようと、両腕に力が入る。
 でも俺なんかの力でビクともするわけなく、アルは俺を宥めながら、指で何度もその場所を責めた。

「好きなだけ、気持ち良くなれ」
「ひぅっ! やっ……やだって、こん、な……俺、ばっか……! ぁああああ! だめっ、いく、イクからぁっ」

 腰が震える。
 自然と目には涙が浮かんでいた。
 俺だってもっとアルを感じさせたい。もっとアルのことを考えたいのに、与えられる快楽に全てを持って行かれる。

「あぁっ! あるっ、アル、もっ! いれてっ、いい……から! 一緒、に!」
「っ……人が加減してやっているというのに、お前は」
「いいっ! もう、どうなっても、いいから……っ、んくっ」

 まるでそれ以上は言うなと言わんばかりに口を塞がれる。
 そして巨大な熱量に体が開かれた。

「ぅあっ……! あぁっ……!」

 白いスパークが視界を満たす。
 息が詰まる苦しさを感じながらも、求めずにはいられなかった。
 心が欲しいと訴える。
 この体に、アルを受け入れたい。

「アルっ……いいっ、はっ、あぁっ!」
「無理を、していないか?」
「して、ないっ! なんか、からだ変……っ、苦しいのに、気持ち、良くて……っ」

 ほんの僅か、アルが進む度に全身が小刻みに震えた。
 挿れられてるだけで感じてしまう体は、最早自分のものではないようだった。
 圧迫感に息をしたくて、あぐあぐと口を動かして喘ぐ。
 けれどそれも容易に嬌声へと変わっていく。

「あっ! んああっ! あっ、あっ……!」
「まだ挿れてるだけだというのに、凄いな……どうした?」
「わか、分からないっけど、ふっ……アルの、気持ちいいっ」

 まるでパズルのピースが組み替えられ、新しい図面が作られているかのようだった。
 自分の知らない一面が新たに作り出されていくのを直に感じ、背筋がゾクゾクする。

「あぁっ! イイ! アル……っ、アルっ!」
「くっ、そう煽るな」

 アルと繋がっている。
 その事実を再認識すると、体の火照りは最高潮に達した。
 それに呼応するかのように、アルも己の熱を俺に打ち付けてくる。

「あっ、くぅっ! ぅあっ! あっ! あっ!」
「クルト……クルトっ」

 穿たれる衝撃に言葉は出ない。
 けれど自分の内壁に密着する熱に翻弄される中、確かに俺は愛しさを覚えていた。
 この熱の全てが愛おしい。
 快楽とは別の場所で冴えた思考が胸を満たす。
 溢れそうになる気持ちを伝えたくて、締まらない口を何とか動かした。

「あるっ……アル! 好き……っ……だから、アル、も……俺を感じてっ」

 律動に汗を飛ばすアルに抱き付く。
 もう体に力は入らなくなっているけれど、何とかアルの背中にしがみつくと、深くなった挿入に背中が反れた。衝撃に震える中で、アルの唇が耳につけられる。

「あぁぅ!?」
「余だって、愛しているに、決まっているだろうっ! もう、どうなっても、知らぬからな」
「ひっ……ぅっ!」

 パンパンと肉を打つ音が聞こえる。
 視界は上下に揺れ、定まらなかった。
 大きく揺れる首が少し痛い。それ以上に自分を貫く熱に、体が中から焼かれるようだった。
 止まらない抽送が腰を共振させ、内から快楽を引き出していく。
 えも言われぬ波動が俺を飲み込んだ。

「あっ! ひっ! んぁっ……あっ! あぁっ! も……イクっ、アル、イクぅぅぅうっ」

 次の瞬間には首が反り返り、体が強張っていた。
 確かに自分の熱は弾けたはずなのに、何故かまだ疼きがおさまらない。

「はっ、あぁん! なん、で……あっ! やっ、気持ちいいの、止まんないぃぃっ」

 擦られ、打たれる度に震えた。
 アルはそんな俺をひたすら貪り続ける。

「ふっ……いいのなら、問題ないだろう。クルト、中に……出すぞっ」
「あんっ、あぁ……っ! ひぅぅっ!」

 腹に響く熱量に喉が絞られて、掠れた空気音が口から出ていた。
 体を揺さぶり続けていた律動が終わり、液体が流し込まれるのをダイレクトに感じる。

「ぅあっ……ぁ……」
「……ふぅ……堪らないな」

 何が。
 声を出すことが叶わない俺を見て、アルが微笑む。
 その顔が、どこか蕩けたように甘ったるくて、気恥ずかしさを覚えた。
 アルの大きな手が俺の頬を包む。

「愛しているぞ、クルト。お前を妻に出来て、余は幸せ者だ」
「……っそういうことは、抜いてから言え! あと妻じゃねぇよ! 夫だよ!」
「腹いっぱいに余の精液を受けておいて、そこを反論するのか?」
「アルが勝手に出したんだろうが!? てか、抜けっ!」
「いやだ」
「はぁっ!? んぁっ!?」

 駄々っ子の如く一言否を告げると、アルは俺の胸に顔を擦り付けてきた。
 そのままイタズラな舌が乳首を転がす。

「っ……ぁ、アル、やめっ!」
「そんな声を出されて止めるわけがないだろう。こちらもまた締め付けてきているしな」
「あっ! んっ……こら、腰、動かす、な……!」

 繋がったまま、またゆるゆると動きが再開されて首を振った。
 流石にこれ以上は体がもたない。

「やぁっ、ダメだって! アル、もう、無理っ!」
「邪神に体力の限界もないだろう」
「そういう、問題じゃっ……あぁん! んっ、んあぁ!」

 言われてみればそうかもしれないけど。精神的にも、身体的にもお腹がいっぱいだった。
 けど腰をグラインドされ、また前立腺に狙いが定められると、体が勝手に快楽に打ち震える。

「ここでは余しか受け入られぬようにしてやるからな。覚悟しろ」
「なっ!? しない、アル以外とはしないから……っ!」

 だからもう勘弁してくれと訴えても、アルは聞き入れようとしない。

「体で覚えるのも大事だろう」
「ヤリたいだけだろうが!?」
「否定はせん」
「しろよ!」

 何でそこで晴れやかに笑うんだよ!
 思わず胸キュンしちゃっただろ! これだから美形は! 惚れた弱みかもしれないけどさっ。

「折角時間を作ったのだ、クルトを堪能させてくれ」
「場所替われ」
「後でな」
「いまっ……ぁあっ、動くなってぇ……ふぁあっ」

 グチュリと中で精液とアルが絡まるのを感じて悪寒が走る。

「アル、頼むから、一回出させてっ」
「ん? 先にイキたいのか?」
「そっちじゃねぇよ!? いい加減、お腹ヤバい!」
「チッ、いっそ孕めば良いものを」
「物騒なこと言ってんな!? てか、出すのは構わないだろ」
「抜きたくない。……そうだ! 掻き出せば良いのではないか?」
「そうだ! じゃねぇ!!! それが辛いって……ひぅんっ、やだ、あっ……く、ぅんん!」

 しんどいと言うのに、小刻みに動き出すアルに腰が震えた。
 体の中心で燻る熱が恨めしい。

「ギリギリまで引き抜くぞ」
「……っ、どうして、そこで、抜かないんだよ! ぅあっ! ぁああ!? ひっ、んん、やだっ……それ、やぁあああっ!」

 穿たれているときとは違い、ゆっくりと引き抜かれる感覚に、久しく忘れていた排泄感が蘇った。
 予想だにしていなかったことに、軽くパニックに陥る。

「なんっ!? これ、だめっ……っ……あっ、出るの、だめっ」
「どうした? 大丈夫か?」

 急に暴れ出した俺に、アルが動きを止める。
 出したところで排泄されるのは、アルの精液ぐらいで何の問題もないはずだけど、その行為自体に精神的な歯止めがかかった。

「んんっ……アル、抜くなら、一気にして……」
「どうしたんだ一体」
「あれ、ゆっくりだと……その、出す感覚と重なるっていうか」
「何か困るのか? どうせ腹には余の精液しか入ってないだろう?」
「それでも! 無理だろ、気分的に!?」
「…………」

 俺の訴えに何故かアルは押し黙る。俺、変なことは言ってないよな?
 少し考える素振りを見せたアルは、あろうことか、とんでもないことを言い出した。

「余は見たい」
「は?」
「クルトの誰も知らない姿だろう? クルトがどんな風に排泄を覚えるのか見たい」
「……魔王様、スカトロの趣味がおありで?」

 ちょっと知りたくなかった夫の一面。こんなところで夫夫《ふうふ》の試練が待ち受けていようとはっ。

「あるわけないだろう。だが、クルトのなら見たい。第一、余の精液を出せるなら、願ったり叶ったりではないのか?」
「やけに『余の』精液を強調してくるね……」
「お前の腹を満たしてるのは、余の精液だからな?」
「抜くのは嫌なんじゃなかったのかよ」
「それはそれ、これはこれだ。ゆっくり抜けば良いのだな」
「ちょっ!? やだって、こら……!」

 アルにそう動かれてしまっては、俺に抵抗出来る術はない。
 何とかアルを止めたくて腕に爪を立てても、彼は楽しそうに笑うだけだった。

「くっ……ぅ……なん、で……そんな、嬉しそう、なんだよ!」
「クルトの新しい顔を見れるのは嬉しいからな」
「ばかっ……ばぁかっ! ぁ……もう……っ」

 キュルキュルとお腹が鳴る。
 圧迫感が去るのと同時にやってくる抗いがたい衝動に、自分でも後孔がひくつくのが分かった。
 アルのカリ部が後孔の内側の筋肉部分で止まる。

「抜くぞ」
「ひっ……ぅぅ……」

 言葉と同時に、襞がアルの亀頭を撫でるのが分かった。
 ズルリと抜ける感触と同時に、中にあったものが、腸の動きに合わせて外へと排出される。

「ぁ……ぅぁ……ぁ……」

 その様子をよく見るためか、アルが俺の膝を持って足を開く。
 こちらの世界にきて初めてする排泄に、俺はただ呆然とするしかなかった。
 そんな俺の姿を頭の天辺から局部までつぶさに眺めたアルが満足げに頷く。

「ふむ、悪くない。痛っ!? おい、蹴るな」
「うるさい。素直に蹴られておけ」

 俺は羞恥を忘れるために、アルの腹を蹴るしかなかった。
 この、この、このっ。

「変態!」
「触手を使うお前に言われてもな……あ、こら、変な称号を与えるな!」
「おめでとう、魔王は『精液スカ好き変態』の称号を手に入れた」
「やめろ! あぁ、もう……こんなことで称号を与えてどうする……しかも何だ、この器用さが異様に上がるステータス付与は」
「さぁ? ステータスの振り分けは、与えないと分からないんだよな」

 そのへんはこの世界の法則に則っているんだろうか。

「相変わらずいい加減だな。まぁ、クルトの恥ずかしい姿を見れたからよしとしよう。下の口から余の精液が溢れ出て来るというのも中々……だから、蹴るなというに」
「どうせ全然ダメージ入ってないんだろうが」

 せめて少しでも痛みを感じさせられたらいいのに。
 ここはあれか、痛みじゃなくて快楽を与えるべきなのか。

「触手を出しても切り捨てるぞ?」
「酷い! ただでさえ触手くんはアルに怯むのに!」

 圧倒的な魔王の力に怖じ気付くのか、一応命令は聞くものの、アルに対しては触手が二の足を踏んでいるのが感覚で分かった。
 本人(?)も簡単に切り捨てられることを理解してるのか……。

「どうせ無限に生えてくるのだろう? 自我があるのが驚きだが」
「我ながら謎なスキルだよ」

 邪神のアビリティやスキルについては考えるだけ無駄な気がしている。
 場の空気が落ち着いたところで、俺は体を起こして膝立ちになった。

「なぁ、そろそろアルも俺を欲しくならない?」
「……さっきはもう無理だとか言ってなかったか?」
「それはそれ、これはこれ」
「仕方のないやつだな」

 苦笑するアルの唇に自分のものを合わせる。

「愛してるよ、アルノルト」
「それはこちらの台詞だ。余も、愛している」

 顔の角度を変え、何度も口づける。
 絡まる舌に、次こそはとことんアルを啼《な》かせることを俺は誓った。